東京地方裁判所 昭和51年(ワ)1459号 判決
一 請求の原因一の事実は、当事者間に争いがない。
二 証人Kの証言及び原告会社代表者本人尋問の結果並びにこれらにより成立の認められる甲第三号証によれば、同二の事実を認めることができ、これに反する証拠はない。
三 請求の原因三の事実は、当事者間に争いがない。
四 そこで、松永益夫が昭和四〇年一月三〇日に木村三吉から本件各商標権を譲り受けた旨の、被告の抗弁について検討するに、被告本人尋問の結果中右主張に副う部分は、前記二に掲げた各証拠及びこれにより成立の認められる甲第二〇、第二一号証に照らして、にわかに措信しえない。また、本件各商標権の商標登録原簿に、昭和四〇年一月三〇日譲渡を登録原因とする松永益夫の商標権取得登録が記入されていることは、すでに述べたとおり、当事者間に争いがないが、右対照の用に供した各証拠を総合すれば、当時原告会社の代表取締役の地位にあつた松永益夫が、原告会社において木村三吉のために存続期間の更新手続をするにつき必要であると称して、同人から白紙委任状及び印鑑証明書の交付をうけ、これをほしいままに使つて、右取得登録をしたことが認められるから、かかる登録が存在することの事実をもつて、被告の前記主張を証すべき徴憑とみることはできない。他に、右抗弁事実を認めるに足りる資料もない。
してみると、被告も、松永益夫の死亡による相続を理由に、本件各商標権を取得するに由ない筋合であるから、木村三吉は被告に対し、本件各商標権について、松永益夫及び被告のためされている前記各取得登録の抹消登録手続をすることを求め得る(松永益夫についてはその抹消登録手続をする義務を被告が承継したこととなるので。)ものといわざるをえない。
五 そうすると、木村三吉に代位し、被告に対し、右各取得登録の抹消登録手続を求める原告の本訴請求は理由があるから、これを認容する。